散髪さんぱつ)” の例文
旧字:散髮
三番目には散髪さんぱつに角帯をめた男とも女とも片のつかない盲者めくらが、紫のはかま穿いた女の子に手を引かれてやって来た。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
妻籠にはまだ散切頭ざんぎりあたま流行はやって来ない。多くのものの目にはその新しい風俗も異様に映る。その中で、今度お民が来て見た時は兄はすでにさっぱりとした散髪さんぱつになっていた。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
昼から若様方はご散髪さんぱつをなされた。始終散髪屋へ頭を持っていく正三君はこういう工合ぐあいに散髪屋をよびつけてらせる法のあることを初めて発見した。順番がまわってきた時、照彦様は
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
まず先に、かれはわたしたちの質問しつもんにこの床屋とこやさんの音楽家が答えることができるかためそうとした。いよいよできるようだったら、かれは散髪さんぱつの代で、音楽の講義こうぎを聞くつもりであった。
ようやくに明治五年に此の散髪さんぱつ流行はやりまして
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)