探偵いぬ)” の例文
夏の雨でございますから其のうち晴れた様子、代を払って出てきます。先へ探偵いぬに廻ったのは篠崎竹次郎しのざきたけじろうという門弟でございます。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
支那の探偵いぬになるような奴あ大和魂を知らねえ奴だ、大和魂を知らねえ奴あ日本人のなかまじゃあねえぞ、日本人のなかまでなけりゃ支那人も同一おんなじだ。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
己れはこれまで、奥様の、探偵いぬといふ訳で、三年以来、別段の、手当を貰ふてゐるのだから、今日とてもその通り。己れから証拠を、名乗つて出ずとも、直ぐ、どうだつたと、聞かれるに違ひはない。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
何處までもつける氣かしら? ほんとに厭になつちやふ。あいつは探偵いぬかも知れないぞ。まるでポオリン探偵の出來損ひみたいな面してやがるからな……なんて間拔けな髭面だい! あんな奴に誰がつかまるもんか!
羽ばたき:Ein Marchen (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
支那チャン探偵いぬになるやうな奴は大和魂やまとだましいを知らねえ奴だ、大和魂を知らねえ奴あ日本人のなかまじやあねえぞ、日本人のなかまでなけりや支那人チャン同一おんなじだ。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
曲角の漬物屋、ここいらへも探偵いぬが入ったろうと思うと、筋向いのハイカラ造りの煙草屋がある。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それに本間の死んだことも聞かしてやったら、十に九つはこっちの物だ。どうやら探偵いぬぎ附けたらしい。何もかも今夜中に仕上げざなるめえ。その代り翌日あしたッから御大尽だ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)