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わし
ふりがな文庫
“
拙者
(
わし
)” の例文
「そうか、近いうち、
拙者
(
わし
)
も舟であちらの方へ出かけるから、その時に連れて行ってやろう、そうしてお嬢さんとやらに会わせてやろう」
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
拙者
(
わし
)
は
此度
(
このたび
)
九国への遍歴を思い立ち、
素
(
もと
)
より絵かきの気楽な境涯も
早
(
はや
)
親兄への
暇乞
(
いとまごい
)
も済まし、其方と今宵語り明して、明朝直ちに
発足
(
ほっそく
)
なそうと、御覧ぜられえ、此の通り旅の姿をいたして居る。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「
拙者
(
わし
)
はこの通り目が不自由でな、せっかく手紙を届けてもらってもそれを読むことができない、どうぞここで代って読んでみて下さい」
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
拙者
(
わし
)
が殊更
其方
(
そなた
)
に向って話し度いと言うのは
外
(
ほか
)
でもない。久方ぶりの其方に拙者とて
素
(
もと
)
より気まずいことは言い度くないが、ま、少しは聴きづらいことなりとも、どうぞ忍んで聴いて貰おう……」
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「
拙者
(
わし
)
はあの井戸の音が嫌いじゃ、今時分あれを聞くと
堪
(
たま
)
らん、なにも拙者の嫌いな車井戸を、ワザとああして
手繰廻
(
たぐりまわ
)
すには及ばんじゃないか」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
そのずれなこと、二十五になれば立派な侍、そのように
女子
(
おなご
)
に似た声とは声からして違うわ!
拙者
(
わし
)
は世評があまり高いに気にかかり、旅出の前の
忙
(
せわ
)
しさを
擲
(
なげう
)
ってわざわざ此事を訊ねに来たのじゃ。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「困ったな、この夕暮に、この淋しいところへ子供をひとり捨て置いて……よしよし、
拙者
(
わし
)
が里まで連れて行って上げよう、さ、おじさんに抱かれてみろ」
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
さあこうして
拙者
(
わし
)
が立っているから打ち込んでごらんと、竹刀を片手にそこへ突立っておいでなさるところを、大勢して
覘
(
ねら
)
って打ち込んでみましたけれども
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
拙者
(
わし
)
も、その神尾殿に会ってお見舞を申し上げたいと思うのだが、どちらにお立退きだかわからない」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ナニ、
拙者
(
わし
)
が以前とは別な人のようになった……ははあ、そなたの眼に左様に見えますか」
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
拙者
(
わし
)
の住むところは、いつでも化物屋敷だ、躑躅ヶ崎の古屋敷もかなり化物じみていた」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
拙者
(
わし
)
が甲府にいる時分、あの城下で、ひとしきり辻斬沙汰が多かった、士分、百姓町人、女まで斬られた、ずいぶん、
酷
(
むご
)
たらしい殺し方をしたものだが、腕は非常に
冴
(
さ
)
えていた
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「よく言うてくれた、お前がその気ならば、
拙者
(
わし
)
はいつまでもお前を放すことはない、お前もまた誰に憚ることもあるまい、今日からは召使のお君でなくて、この能登守の部屋におれ」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
とりあえずここへ僅かながら
金子
(
きんす
)
を持参致した、
拙者
(
わし
)
の帰るまで、五日か長くて十日の間、これをそなたに預っておいてもらいたい、それと共に、その間はそなたの身に変りのないように
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そなたの言うことが、わしにはよくわかりませぬ。
拙者
(
わし
)
のこのごろの出先といって、その目的は、そなた存知の通りなれど、出先はやはり今日は東、明日は西、どこときまったことなく江戸の天地を
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「それから、あの眼の方なあ、あの眼は野郎から見ると難物だからな。しかしまあ、ああしておけば十日や二十日は持つ、そのうち江戸へ出て来るというから、来たら
拙者
(
わし
)
がところへよこしなさい」
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「そうか、
拙者
(
わし
)
もそう思うたからそちに聞いてみた」
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
拙者
(
わし
)
もこうなった上は一時も早く……」
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“拙者”の意味
《代名詞》
拙者(せっしゃ)
(もとは武士が)自らを謙遜した語。わたくし。拙子。
(出典:Wiktionary)
拙
常用漢字
中学
部首:⼿
8画
者
常用漢字
小3
部首:⽼
8画
“拙者”で始まる語句
拙者方
拙者事
拙者儀
拙者共
拙者宅
拙者迄
拙者宅迄
拙者方家人