拉甸ラテン)” の例文
されば膠中かうちゆうに栽ゑたるとき、紫色を見する水中の細菌、立派なる拉甸ラテン名を得たるは、利害なき中にても、その紫の色に出にければなりかし。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
(アスカニウスは昔アルバ、ロンガの基を立てし人なり。是れ拉甸ラテン人の始めて市を成せる處にして、後の羅馬市はこれより生ぜりといふ。)
唯、かかる超唯物科学的なる現象に対して深き興味を有する拉甸ラテン人種間に伝われる記録及び迷信深き東洋諸民族間に残存せる伝説等に散見するあるのみ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
井上君拉甸ラテン語、伊太利亜語、以斯班牙イスパニア語を引証せらるれば高橋君一々其出処を論ぜらる。無学の拙者共せつしやどもには御両君の博学あり/\と見えて何とも申上様なし。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
英語はもとより、仏蘭西フランスをどうの、独乙ドイツをこうの、伊太利イタリー語、……希臘ギリシャ拉甸ラテン……
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さうすると Capito と云ふ人が聽いて居つて、帝王の口から出た言葉は立派な拉甸ラテン語であると斯う云ひました。
仮名遣意見 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
垣の上に髑髏どくろありて、一鼷鼠けいそ、一蚯蚓みゝず、一木蝱きあぶこれに集り、石面には「エツト、エゴオ、イン、アルカヂア」と云ふ四つの拉甸ラテン語を書したり。われ。
拉甸ラテン人種式の頭の良さとを同時に持っているので御座いますが、それが又……あの通りウットリとしたまばたきのし方でもお察し出来ます通りに、どことなく北欧人種式の隠遁的な
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
審美的觀念は拉甸ラテン人が爭ふべからぬものと定めし一人々々の嗜好にあらず。學問上にあきらめ得たる趣味なり、「エステジス」なり。拘泥すればこそ標準を憎め。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
仏蘭西フランス人みたいな性格を象徴している、純拉甸ラテン型の薄い腮を持っている事でありますが、しかし、この特徴も、この少年の平生の性格には、あまり現われていないようであります。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そのバビロン塔の如きもの、後の世に傳はりたるは、これが爲なり。されど若しその詞だにも拉甸ラテンならましかば、後の世の人せめては彼が學殖をおもひて、些の敬をば起すなるべし。
古い拉甸ラテン語の如きはあれは Latium の中の Roma の上流者の言葉である。
仮名遣意見 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
金井君は筆を取って、表紙に拉甸ラテン語で
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)