扶助ふじょ)” の例文
ふたたび家を東京にうつすに及び、先生ただちにまげられ、いわるるよう、鄙意ひい、君が何事か不慮ふりょさいあらん時には、一臂いっぴの力を出し扶助ふじょせんと思いりしが
あの女は一生おのれを扶助ふじょしてくれるはずの良人を失った上に、しかもその良人を誰と名指すこともできない。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
殺害せられたフランス人の家族の扶助ふじょ料として、土佐藩主が十五万どるを支払うことが三つである。
堺事件 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
働き者をとられるとその日から暮しにこまるという理由で五十円の結納ゆいのう金、結婚後は月々十円の扶助ふじょ料という条件をお綱の母親がもちだした。一歩もひこうとしなかった。
禅僧 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
産んだ子を人質に、男を永く自分の便りにさしてやらう、生んだその子に向つては威張いばつて自分を扶助ふじょさしてやらう——かういふいはれの種を持たない女は一人も無からう。
上田秋成の晩年 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)