こしら)” の例文
それにこの頃少しも高座へ出ないが生活も悪くないと見えてチャンとしたこしらえをしていた。艶々と顔も張り切っていた。少なからず私は安心した。
随筆 寄席風俗 (新字新仮名) / 正岡容(著)
谷中あたりの職人ていこしらえ、印半纏しるしばんてんを着まして、日の暮々くれ/″\に屋敷へ入込いりこんで、灯火あかりかん前にお稲荷様のそばに設けた囃子屋台はやしやたいの下に隠れている内に、段々日が暮れましたから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いままでの一切の華美華美けばけばしかった自分の表飾りを、残らずかなぐり棄ててしまおう、芸も、暮らし向きも、こしらえも——ただひとつ小糸をいとしみ、いつくしむことだけは
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)