打戦うちおのの)” の例文
旧字:打戰
光子は涙浮びたる眼を開きて、わずかに老婦人を瞥見べっけんせるのみ、打戦うちおののきて手足をすくめ、前髪こぼれて地に敷くまで、こうべを垂れて俯向うつむきぬ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
八蔵ぬっとつら差出し、こぶしに婦人をつかむ真似して、「汝、これだぞ、とめつくれば、連理引きに引かれたらむように、婦人は跳ね起きて打戦うちおののき、諸袖もろそでに顔を隠し、俯伏うつぶしになりて、「あれえ。」
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)