手洗水みたらし)” の例文
大悪相を顕じたのである。従って女の口をるる点々の血も、彼処かしこ手洗水みたらしく水脈に響いて、緋葉もみじをそそぐ滝であった。
背後うしろには躑躅の花飛び飛びに咲きて、青き草まばらに、やがて堂のうらに達せし時は一株も花のあかきはなくて、たそがれの色、境内の手洗水みたらしのあたりをめたり。
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
背後うしろには躑躅つつじの花飛び飛びに咲きて、青き草まばらに、やがて堂のうらに達せし時は一株ひとかぶも花のあかきはなくて、たそがれの色、境内けいだい手洗水みたらしのあたりをめたり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)