手斧てうな)” の例文
普請場にはのみや、手斧てうなや、まさかりや、てんでんの音をたててさしも沈んだ病身ものの胸をときめかせる。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
何様いふ筋で喧嘩をいたしましたか知りませぬが大それた手斧てうななんぞを振り舞はしましたそうで、左様きゝました時は私が手斧で斫られたやうな心持がいたしました
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
キタイスカヤ昼のほのほと職待つと手斧てうなかたへに人い寝こけぬ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
背後はいご山懐やまふところに、小屋こやけて材木ざいもくみ、手斧てうなこえる。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
死んでも立派に名を残さるゝ、あゝ羨ましい羨ましい、大工となつて生てゐる生甲斐もあらるゝといふもの、それに引代へ此十兵衞は、のみ手斧てうなもつては源太様にだとて誰にだとて
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
花しろきえごののまを日ごもりと手斧てうなは音に楽しむごとし
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)