戦場いくさば)” の例文
旧字:戰場
みだれ焼きの槍の上手で、また、戦場いくさばでは、五本の“飛閃刀なげがたな”を背にかくし、百歩離れて人を仆すという神技の持ち主です
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今に御寺の本堂を浪士の陣屋に貸して、此の岡崎を徳川と浪士との戦場いくさばにする積りだらう、と云ふ事である。で何かに附けて在所の者は和上を憎んだが。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
息子は彼等が戦場いくさば弾丸たま除けでない
我等の春 (新字新仮名) / 今野大力(著)
「あらあら、やじりがたくさん落ちていら。かぶとの鉢金もあるし。——先生、この辺は、戦場いくさばの跡ですね、屹度きっと
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「伊吹山のふもとで育ったおめえが、こわいなんていうと、化け物のほうで顔負けするだろう。りんの燃えている戦場いくさばを歩いて、死骸の太刀やよろいいだことさえあるじゃねえか」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「怒るな、そっちにも、とががあろう、火のない所に煙は立たない。蓬屋よもぎやの後家が、子をつかって、戦場いくさばの死骸から、呑みしろかせぐという噂は、たしかに、俺の耳へも入っていることだ」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)