我人われひと)” の例文
「お次は相場の当る法、弁ずるまでもありませんよ。……我人われひとともに年中おけらでは不可いけません、一攫千金いっかくせんきん、お茶の子の朝飯前という……次は、」
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかしとにかく和顔わげんと愛語の二つは、我人われひとともに十分に、心懸こころがけねばならないと存じます。とくに婦人の方には、この点を十分に反省してほしいと思います。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
「なんと申しても、相手は主君じゃ。お身が今、お目通りに出たら必定お手打ちじゃ。殿の御非道は、我人われひと共によく分かっている、がなんと申しても相手は主君じゃ」
忠直卿行状記 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
牢を破ってここへ逃げ込んだことは、我人われひと共に幸いであったけれど、我々をこうして隠して置く駒井能登守という人のためには、幸だか不幸だかわからないと思いました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
彼ほど孤独で冷めたく我人われひとともに突放している人間でも、私に逃げられることが不安なのだ。
青鬼の褌を洗う女 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
それを我人われひとともに、大夫は奥の楽屋に隠れてでもいるかのように思っていた。その楽屋は奥の奥で人を寄せつけない。鴎外は遂にその本領を示したことがないといって攻撃していたものである。