懲々こりこり)” の例文
誰某だれそれ屁玉へだまくらって凹んだと大きに笑われたそうで、もう懲々こりこりして、誰も手出しは致しません、何と、短銃では、岩見重太郎宮本の武蔵でも叶いますまい。と渋茶を一杯。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
屋根は低いのに揺れると来て、この前頭痛で懲々こりこりしたから、今度は歩行あるくつもりで、今朝小田原からたって来たが、陽気は暖かだし、海端うみばたの景色はし、結句暢気のんきで可い心持だ。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いいえ、しかし何ですわ。うっかりした話はいたされませんね。私も吃驚びっくりしました、だって泣きようがひどいのですもの。いやな人ねえ。貢さん、私ゃ懲々こりこりしたよ。もうもうこんなことは聞かせません。」と半ばは怨顔うらみがおなるぞ詮方なき。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)