態度こなし)” の例文
と門之丞、言葉も手つきも、なんだか急に骨董屋こっとうやみたいになって、取扱い注意の態度こなしよろしく、萩乃の前へさげてきたのをると!
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
身の態度こなしから声音こわねまで妻の生前そのままです。妻の霊は私の手を握って喜んでくれました。その手が大変に冷たく、妙にひやりとした感じが、後になっても忘れられませんでした。
消えた霊媒女 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
浮いたところのすこしもない、さればと云ツて、心欝した不安のさまもなく、悠然ゆつたりとして海の広みに眼を態度こなしは、雨にさらされ雪に撃たれ、右から左から風に攻められて、磯馴の松の偏曲ひねくれもせず
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ちょっとした顔つき、身体の態度こなしで、お絃には容易に区別がついて、良人と間違えるなどという、そんなような心配は、まずないのである。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
実際このごろでは、歩き方からちょっとした身の態度こなしにまで、伝二郎は細心に玄内の真似を務めているらしかった。
「エエ、じれったいお地蔵じぞうさん」の唄声に合わせて、お美夜ちゃんは両の袂を振りまわし、さもじれったそうな態度こなしよろしく、「石では口がきけないね」で口に両手を重ねて
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)