想見そうけん)” の例文
今この波瀾重畳険危な骨董世界の有様を想見そうけんするに足りるはなしをちょっと示そう。但しいずれも自分が仮設かせつしたのでない、出処しゅっしょはあるのである。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
希臘語ギリシャごを解しプレートーを読んで一代の碩学せきがくアスカムをして舌をかしめたる逸事は、この詩趣ある人物を想見そうけんするの好材料として何人なんびと脳裏のうりにも保存せらるるであろう。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
煉瓦れんが建ての、住み荒した不便な家であった。この家を借りるにあたって、どうせ長くいないことを想見そうけんしたものか、ヘンリイは一年の家賃の中からすこし手付けを置いただけで引っ越している。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)