悦服えっぷく)” の例文
ここは孫権そんけんの地で、呉主すでに三世をけみしており、国は嶮岨けんそで、海山の産に富み、人民は悦服えっぷくして、賢能の臣下多く、地盤まったく定まっております。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
随分トコトンまで辛抱しておりましたが、腹の中では決して悦服えっぷくしていたわけではなく、機会さえあれば、百姓一揆その他の形で、随時随所にその不平を爆発させ
悦服えっぷく、信頼によって成り立つ関係なのであって、独善的な命令や権力的強制で生れる関係ではない。
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)
彼は、信長の名をはずかしめない新興勢力下の一大名として、次々に、領民をよく悦服えっぷくさせていた。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城主の帰国を知った亀山の町民は、夜空も染まるほど篝火かがりびに祝いの心を見せていた。事実ここの領民は旧国主の波多野氏はたのし時代よりも、いまの善政に悦服えっぷくし、光秀の徳になついていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お味方もまた彼に劣らぬ文化と政略をいて、土着の領民をも悦服えっぷくせしめてゆかぬことには、ただ一城一城と戦い取っても、結局、さいごの勝利——まことの戦果は、つかむことができますまい。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)