悠々いういう)” の例文
ユヱの山林局にゐた局長のマルコン氏は、いまごろは、また、あのユヱに戻つて、悠々いういうと露台で葉巻でも吸つてゐる事だらう。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
筍は伸びて軒端に届き、そこにもう一つ穴をあけて貰ひ、悠々いういうと屋根の上に、頭を出してゐたからである。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
もういかんとあきらめるトタンにむねいたかつた、それから悠々いういうみづつた、するとうつとりしてなんだかわからなくなつたとおもふとぱついとのやうな真赤まつか光線くわうせんがさして
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
勝つた海豚は、まるで何事も起らなかつたものゝやうに、どこかへ悠々いういうと泳いで去りました。
動く海底 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
彼はパイプをくはへて、悠々いういうと青い煙を吐いてゐた。
イボタの虫 (新字旧仮名) / 中戸川吉二(著)
加野は、ゆき子が、少しも昔の情熱的なところを見せないで、悠々いういうと落ちついてゐる事に、なぞだなと、此の女の大胆さが不思議でもあつた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
道はちりつぱ一つなく、大樹の並木の下を、悠々いういうと往来してゐる安南人や、華僑くわけうの服装は、貧弱な日本の服装を見馴れたゆき子には驚異であつた。急に篠井春子がうらやましかつた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)