悟空ごくう)” の例文
悟空ごくうの身体の部分部分は——目も耳も口も脚も手も——みんないつもうれしくてたまらないらしい。生き生きとし、ピチピチしている。
野末のほうから風に乗って悟空ごくうのように素ッ飛んできた一粒の黒い人影があって、近づけば、それは子供か大人かわからない例の蜘蛛太くもたであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
元より悟空ごくうが神通なき身の、まいて酒に酔ひたれば、いかで犬にかなふべき、黒衣は忽ちひ殺されぬ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
「また悟空ごくう八戒はっかいかい?」
桜林 (新字新仮名) / 小山清(著)
三蔵法師の智慧ちえや八戒の生き方は、孫行者を卒業してからのことだ。まだまだ、俺は悟空ごくうからほとんど何ものをも学び取っておりはせぬ。
昼餉ひるげののち、師父しふが道ばたの松の樹の下でしばらくいこうておられる間、悟空ごくう八戒はっかいを近くの原っぱに連出して、変身の術の練習をさせていた。
これ爾にふさわしき位置ところにして、また、爾にふさわしき勤めじゃ。みちは苦しかろうが、よく、疑わずして、ただ努めよ。玄奘の弟子の一人に悟空ごくうなるものがある。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)