思惟しゆゐ)” の例文
そしてわたくしはかう思惟しゆゐした。わたくしは壽阿彌の墓の所在を知つてゐる。然るにいまかついてとぶらはない。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
つく/″\静かに思惟しゆゐすれば、我憲清のりきよと呼ばれし頃は、力を文武の道につからし命を寵辱のちまたに懸け、ひそかに自ら我をばたのみ、老病死苦のゆるさぬ身をもて貪瞋痴毒とんじんちどくごふをつくり
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
鏡にむかひては髪の乱れたるをぢ、こがねを懐にすれば慾のたかぶるを致す習ひ、善くも悪くも其境に因り其機に随ひて凡夫の思惟しゆゐは転ずるなれば、たゞ後の世を思ふものは眼に仏菩薩の尊容を仰ぎ
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)