忍術しのび)” の例文
そうしてそやつは忍術しのびにかけては、名ある奴であろうと想像した。そいつをうまうま翻弄ほんろうしたことが、彼にはひどく愉快なのであった。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「何時何処から這入って来たな? いやいやお前は忍術しのびの達人、これは訊くだけ野暮かもしれない。……で、何か用事かな?」
五右衛門と新左 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
忍術しのびを加味したこと、三、気合をたっとんだこと! 剣禅を打して一丸とし、無刀、わずかに十手と縄もて、悪魔を擒縛するがごとく、悪人を縛し挫くにあった。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
当時忍術しのび衆の心掛けとして、同じ家中の侍へも、生地きじの姿は見せなかった。生地の姿を知っているものは、同じ仲間の忍術衆だけで、主君といえども知らなかった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
忍術しのびの秘訣は第一が小人数、で、私ともう一人、茣座右門とまかり越し、引っ捉えますでございます」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この歩き方は忍術しのびの骨法だ。……これはおかしい。不思議だな。まさかおいらと同じように、金を目掛けて忍び込んだ、白浪しらなみの仲間でもあるまいが。……いや全くこれは不思議だ。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その中から十人を選抜し、「忍術しのび十人衆」と命名し、大奥の警護に宛てることにした。
五右衛門と新左 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ヤレ錬金だの、仙丹だのと、金持ちになることと永生ながいきすることとを、セッセとお館に進めている、彼奴きゃつ決して方術師ではなく、精々のところ手品使い、初歩の忍術しのびの使い手に過ぎない。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
是ぞ忍術しのびの奥儀の一つ、生身を変じて死身にする「封息」の一手でございます。
赤格子九郎右衛門 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「では俺の方から歩いてやれ」丹田たんでんの気を胸へ抜き、ほとんど垂直に爪先を立て、これも一種の忍術しのび骨法、風を切って一息に、北側の廊下を丑松の部屋まで、電光のように走って行った。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
尚三十人の蜈蚣むかで衆——すなわち忍術しのびの名人達が、隣り部屋に詰めていた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「この私におきましても、いささか忍術しのびを使いまする」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「殿よりつかわされたる忍術しのびの刺客?」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「はい、些少いささか、伊賀流の忍術しのびを……」
五右衛門と新左 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)