忍者しのび)” の例文
そこで、書院窓の明りを避けて、ソロ……と四、五尺身を退いた。——と思うと長廊下、忍者しのびふせぎの仕掛張しかけばりが、キキキキ……と鳴くかのようにきしみだす。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
木曾の野洲川やすがわに大きな勢力を持っているばかりでなく、また兵法の達人であるばかりでなく、乱波らっぱ忍者しのび)の上手で、この男が殺そうとけねらった人間で天寿をまっとうしている者はかつてなかった。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)