微酔ほろえい)” の例文
旧字:微醉
びんのほつれ毛が顔へ懸りまして、少し微酔ほろえい白粉気おしろいけのあるところへぽッと桜色になりましたのは、べっして美しいものでございます。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
跡先ぽつと匂はする、微酔ほろえい機嫌も、その実は、いふにいはれぬ、心外の、耻辱の耳に伝はりしに。心はかうと極めながら。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
盤台はんだいをどさりと横づけに、澄まして天秤てんびんを立てかける。微酔ほろえいのめ組の惣助。商売あきない帰途かえりにまたぐれた——これだから女房が、内には鉄瓶さえ置かないのである。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
両親共に三味線が好きで、ことにお母さんは常磐津ときわずが上手で、若い時には晩酌の微酔ほろえいにお母さんのいとでお父さんが一とくさり語るというような家庭だったそうだ(二葉亭の直話)。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
微酔ほろえい機嫌で楊枝を使いながらズッと上って来ました様子が、平常ふだんと違いますから一同は恟りして
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)