御当家こちら)” の例文
めえらの知った事じゃアない、えゝ殿様、誠にはずかしい事だが、此の千代が御当家こちらへ奉公にめえった其の時から、わしは千代に惚れたの惚れねえのと云うのじゃアねえ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「酔っているばかりでも有りますまい。わたくしが二度と御当家こちらへ来ればあの人が又暴れて来るそうですね。あの人は何故そんなに妾を恨んでいるんでしょう。妾にはちっとも訳が判りません。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
何卒どうぞお願いだから……一通りあれ心術こゝろだてを話し、孝行のために御当家こちらさまへ奉公に来たと、次第を話して、何処までも私がお詫をして指を切られるのをのがれるようにしますから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
千「わたくしの母は冥加至極有難いと申しましょうけれども、貴方のお父様とっさまが御得心の有る気遣きづかいはありますまい、私のようなはしたない者を御当家こちらさまの嫁に遊ばす気遣いはございませんもの」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何一つ買って与える事も出来ませんが御当家こちらへ内職にあがるように成ってから、結構な櫛を戴いたり、食物たべものまで贈って下さり、なんたる御真実の事か実にうも此の御恩は決して忘却は致しません
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)