御家中ごかちゅう)” の例文
この御方おかたは中津の御家中ごかちゅう、中村何様の若旦那で、自分は始終そのお屋敷に出入でいりして決して間違まちがいなき御方おんかただから厚く頼むと鹿爪しかつめらしき手紙の文句で
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
蜂須賀家はちすかけでは、十年程前から、ばかに他領者たりょうものの入国を嫌って、よほどの御用筋ごようすじか、御家中ごかちゅうの手引でもなけりゃ、滅多めったに城下へ入れないという話だが」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御家中ごかちゅうで万事に心附こゝろづきのある方は渡邊殿と秋月殿である、寒かろうから寒さしのぎに酒を用いたら宜かろうと云って、御酒ごしゅを下すったが、斯様な結構な酒はお下屋敷にはないから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「あの、これは藤堂様の御家中ごかちゅうでな、どうか御粗相ごそそうのないように」
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「あなたは、高野こうや御家中ごかちゅうでござりますね」
南北の東海道四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)