御定連ごじょうれん)” の例文
「アライところで一本」なぞいう御定連ごじょうれんは無いと云った方が早いくらい。しかもうなぎは千葉から来るのだと、団扇うちわ片手の若い衆が妙な顔をして答えた。
しかしながら、僅かの間を置いて朝湯に飛び込んで来た、吉原帰りらしい二人の御定連ごじょうれんの騒々しい梯子段の上り方で、急に二階番の老爺も興をさましてしまいました。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
十時がやっと廻ったばかりのところでした。その大久保の別荘というのに、熊谷と二人きりでいるのか、それとも例の御定連ごじょうれんと騒いでいるのか、とにかく現場を突き止めてやりたい。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
来るたびに若くなって来るとは御定連ごじょうれんでさえも洩らす讃美である。彼女の生活が、芸術のためによって生きる意義を見出みいだすとき、彼女が永遠に若き生命の所有者であることを認めなければなるまい。
豊竹呂昇 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
その時分に、庭先へ、また例の御定連ごじょうれんの子供たちが、どやどやと入りこんだ物音を聞きました。
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ブリキ中のガサガサくらいのヨタ者御定連ごじょうれんが席につき、この御定連の顔ぶれのうち、珍しくも紅一点の村雨女史という別嬪べっぴんが一枚、差加わったのは、いつも同じ顔ぶれの三ぴんばかりで
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
特に今晩は、あの御定連ごじょうれんだけではない、正面に、安直の一枚上に大たぶさの打裂羽織ぶっさきばおりが控えている。これぞ彼等が親分と頼む木口勘兵衛尉源丁馬が、特に三州方面から駈けつけたものと見受けます。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)