徒食としょく)” の例文
いずれにせよ、私はそこで生れてはじめて思うさまに羽根をのばし、好き放題な自分だけのおしゃべりを満喫して、大威張りで徒食としょくしていたのである。
軍国歌謡集 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
『まったく、奇特じゃよ。誰が、糸瓜へちまの下に涼み、誰が朝顔の花を見るやら知れねど……人間、何かせずには今日が居られぬでの。徒食としょくは、辛いものよ』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何にもしないで生きているのを徒食としょくというと先日読書の時間に習ったが、まさか徒食業と答える次第わけにも行かず困っていると、僕の前の奴がすっくと立ち上って
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
親類を見渡しても、皆似たり寄ったりの無気力な連中ばかりで単に徒食としょくしている。それで田川の血を引いたものから何うかして一人家名を揚げるものを出したいのだった。
村の成功者 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
大奥に寵姫ちょうきの数を殖やし、将来、無益で徒食としょくの権利だけのある子どもを幾十人も生ませ、塗炭の民の上に、金殿玉楼の、生ける身のひつぎをもって老いを待つだけの事でしかない。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)