徒歩てく)” の例文
彼はまだ一軒レストランへ寄ってビールを飲み、さてそれから徒歩てくでヂャリージの家をめざした。みちみちのべつに唄を口ずさみながら。——
イオーヌィチ (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ゐねむりをしい/\、むかし道中だうちうをしたといふ東海道とうかいだう里程りていを、大津おほつからはじめて、幾里いくり何町なんちやう五十三次ごじふさんつぎ徒歩てく饒舌しやべる。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
立話しながら訊いてみると、明日の王子神社の槍祭を当て込み、今日の暮方に発足して夜通し徒歩てくろうという約束があって、仲間同士のよしみから廻り道して誘いに寄ったという。
何しろあすこから徒歩てくって來たんですよ、ほとんど駈けどおしでね。
「それで、何かね。ドイツ兵は徒歩てくで通るんかね」
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
勿論、往復とも徒歩てくなんですから、帰途かえりによろよろ目がくらんで、ちょうど、一つ橋を出ようとした時でした。午砲どん!——あの音で腰を抜いたんです。
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「え、何だつて、徒歩てくで通るかつて?」
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)