“待佗”の読み方と例文
読み方割合
まちわ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その胸のうちに彼は今如何いかなる事を思へるかを想へ。彼は憎からぬ人の帰来かへり待佗まちわぶるなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
雨の降る旅館の欄干にもたれています。粗末な昼飯を仕出屋が道の上に岡持で運んで来ます。所在なくてそれをしも待佗まちわびるものゝ一つにする籔塚鉱泉の二日泊り。山一つ彼方へ越します。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
月の光は青白く落ちて、一層凄愴せいさうとした死の思を添へるのであつた。人々は同じやうに冷い光と夜気とを浴び乍ら、巡査や医者の来るのを待佗まちわびて居た。あるものは影のやうにうづくまつて居た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)