弥兵衛やへえ)” の例文
旧字:彌兵衞
浅野弥兵衛やへえに命じて、彼は、そのことごとくを、部下の全将士にけて今年の労をねぎらい、また来たるべき年の覚悟についてこう云い渡した。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
現にあのさん・じょあん・ばちすたさえ、一度などは浦上うらかみ宗徒しゅうとみげる弥兵衛やへえの水車小屋に、姿を現したと伝えられている。
おぎん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
家政のことや二人の妹のせわは云うまでもない、武家のならいで跡継ぎがなければ家名が絶えるから、同じ家中で松田弥兵衛やへえという者の二男を養子にきめた。
日本婦道記:風鈴 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
七左 おお、弥兵衛やへえどの御子息欣弥どの。はあ、新聞に出ておりますか。田鼠化為鶉、馬丁べっとうすなわち奉行となる。信濃国東筑摩郡松本中の評判じゃ。唯今ただいま、その邸から出て来た処よの。
錦染滝白糸:――其一幕―― (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大垣おおがきまで、筑前の名代みょうだいとして、使いに行ってこい。正使には、浅野弥兵衛やへえをつかわす。弥兵衛についてまいるのじゃ」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父の弥兵衛やへえは大工の棟梁とうりょうだったが、吝嗇りんしょくなくせに人の好い性分で、いつも損ばかりしていた。
おさん (新字新仮名) / 山本周五郎(著)