引目ひけめ)” の例文
埼玉県の加須かぞ羽生はにゅうの「青縞あおしま」も名がありましたが、あいを生命としている縞物しまものだけに、本藍ほんあいから離れたことは大きな引目ひけめといえましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
私などから世話を受けている、ということを、何かご自身の、ひどい引目ひけめででもあるかのように思い込んでいなさるのです。
駈込み訴え (新字新仮名) / 太宰治(著)
無論たゞそんな仮想で一夜の祝勝会の余興にするといふ場合だといふのに、弘雄は余程の引目ひけめでもあるかのやうにたぢろいで、二人の友達を驚ろかせた。
サクラの花びら (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
つねに引目ひけめをかんじていなくてはならない。
煙突 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
しかし八丈島の例の「黄八」を真似たもので、やはり真似るということに既に引目ひけめがありましょう。本場の品に比べると一歩を譲らねばなりません。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
今まで何かにつけ引目ひけめを感じていた東北人は、かえって誇りをこそ抱いてよいと思います。おくれていると思う品物がむしろ新しい意味を以て活き返って来るでありましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)