引剥ひんむ)” の例文
累「はい蚊帳どころではございません、着ております物を引剥ひんむいて持出しまして、売りますか質に入れますか、もう蚊帳も持出して売りました様子で」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ぬかるなと申してやれ、十左め、ひっ捕えたらこんどこそ糾明してくれる、あの僣上せんじょうな忠義ぶった面の皮を、こんどこそ引剥ひんむいてくれるぞ、誰かおるか、斎宮、斎宮
爾して化の皮を引剥ひんむくと云う積りである、其の執念の深いには驚くが、夫にしても秀子が此の人を恐れて逃げたのは何故だろう、虎井夫人の言った事を考え合わすと
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
うなるくらいならナゼ、もっと早く唸らない——というほどの意味であったか、その意味はよくわからないが、道庵は、荒っぽく引剥ひんむきもしかねまじき勢いの屏風びょうぶをそっと押して
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
愈々化けの皮を引剥ひんむいて恨みを晴らす時が来たと、嬉しさに腹の中から込み上げる笑いを世辞に紛らせて了うのだ、此の様な事は総て女の長所だが取り分けてお浦の長所だ
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
見事叩っ毀して面の皮を引剥ひんむいてくりょう。
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一刻も早く此の高輪田長三を連れて秀子の化の皮を引剥ひんむきたいと思った為で有ろう、叔父はそう執念深く人を怨まぬ気質で、一時はお浦の所業を怒ったけれど間も無く心が解け
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)