廓外くるわそと)” の例文
ここいらは廓外くるわそとで、お物見下のような処だから、いや遣手やりてだわ、新造しんぞだわ、その妹だわ、破落戸ごろつきの兄貴だわ、口入宿くちいれやどだわ、慶庵だわ
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
然しわたくしがわざわざ廻り道までして、この店をたずねるのは古本のためではなく、古本をひさぐ亭主の人柄と、廓外くるわそとの裏町という情味との為である。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
六、七名の幕兵が、彼の左右から腕をつかみ、背中を突いて、廓外くるわそとへと、追い立てた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
栄子はその後万才なにがしの女房になって、廓外くるわそとの路地にはいないような噂を耳にした。わたくしは栄子が父母と共にあの世へ行かず、娑婆しゃばに居残っている事を心から祈っている。
草紅葉 (新字新仮名) / 永井荷風(著)