廉立かどだ)” の例文
そして黒い上衣と光るシルクハットとのために、綺麗に髯を剃った、秘密らしい顔が、一寸廉立かどだった落着を見せている。
すぐに出張して見ると、水兵は別にこれと云う廉立かどだった暴行をしてはいない。しかし神社仏閣ぶっかくに不遠慮に立ち入る。人家に上がり込む。女子をとらえて揶揄からかう。
堺事件 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
と案外また英吉は廉立かどだった様子もなく、争や勝てりの態度で
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
併し十太夫の勤振つとめぶりにはこれと云ふ廉立かどだつた瑕瑾かきんが無い。たゞ利章等が最初に心附いたのは、これまで自分等の手を經て行はれた事が、段々自分等の知らぬ内に極まるやうになると云ふだけである。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)