ユカ)” の例文
錣太夫か誰かゞ、ユカに上つて、浄瑠璃を語つてゐた。ひどく静かな聴き手であつた。その中に思ひがけなく、悠々と長く、静かに手を拍つ人が居たのである。
戞々たり 車上の優人 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ユカの上へ蒲団をおろし、その上で揉ませる。アンマ曰く、「安いお方じゃありませんな、金がかゝってる。」そのうち揉まれてる鼻先へプーンとアンマの屁だ。心の中で僕、「これは辛い。」
かう思うて、人事ならず、喜びの胸のしめつて来るのを覚えた。その内ユカが廻つて行つた。思ひ出した。此は何でも、文楽連衆の素浄瑠璃の催しのあつたをりである。
戞々たり 車上の優人 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)