“年効（としがい）” の例文
旧字：年效
あの、樹の下の、暗え中へ頭突込（つッこ）んだと思わっせえまし、お前様、苦虫の親仁（おやじ）が年効（としがい）もねえ、新造子（しんぞっこ）が抱着かれたように、キャアと云うだ。
草迷宮 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)
一色が知っているような気もしたが、黙って引き退（さが）っている一色を、年効（としがい）もなく踏みつけにしていることを考えると、そう思いたくはなかった。
仮装人物 (新字新仮名) ／ 徳田秋声(著)
安兵衛　年効（としがい）もなく考えが到らなかった。時さんこの話は水に流しておくれ。
沓掛時次郎　三幕十場 (新字新仮名) ／ 長谷川伸(著)
血気に逸（はや）り、我慢に推上（おしのぼ）ろうとなさる御仁なら、お肯入（ききい）れのないまでも、お留め申すが私（てまえ）年効（としがい）ではありますが、お見受け申した処、悪いと言えば、それでもとはおっしゃりそうもない。
星女郎 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)
処を、年効（としがい）もない、密（そっ）と……様子が見たい漫（そぞ）ろ心で、我慢がならず企てました。
星女郎 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)