平頸ひらくび)” の例文
を、呪文じゅもんのように叫びつづけながら、もうたてがみへつかまっているのでは間に合わなくなって、馬の平頸ひらくびへ、眼をつぶって、抱きついていた。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
突然水ぎわに走りよった奔馬が、そろえた前脚まえあしを踏み立てて、思わず平頸ひらくびを高くそびやかしたように、山は急にそそり立って、沸騰せんばかりに天を摩している。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
汗あゆる鹿毛の平頸ひらくび浅間嶺の山肌のごとき光沢くわうたくにあり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
頼朝は駒の平頸ひらくびへ抱きついた。駒は高く脚をあげたまま狂いながら後へ退がった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)