“平生(いつ)” の例文
或晩、氣弱者のお安が平生(いつ)になく眞劒になつて、天理教の有難い事を父作松に説いたことを、松太郎は今でも記憶してゐる。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
その日神中が銀行へ往ったところで、他の銀行員は平生(いつ)になく神中に嘲(あざけり)の眼を向けた。神中はどうしたことだろうと思っていると、知人が出て来て
雀が森の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
私は平生(いつ)も引く寢臺の帷(カアテン)を引き忘れてゐた。そして窓の日除(ひよ)けも下ろすのを忘れてゐた。
ところが、それから二日目の朝、私が出勤すると間もなく、平生(いつ)になく不機嫌な顔をした彼女が、揉(も)みくしゃにした便箋を手に握りながら、妙に身体をくねらして私の前に立った。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
或晩、気弱者のお安が平生(いつ)になく真剣になつて、天理教の有難い事を父作松に説いたことを、松太郎は今でも記憶してゐる。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
内訌が起つたとか起りさうだとか云ふ事を、「毎日」子が何かの序に仄めかした時、大川氏と須藤氏が平生(いつ)になく朝早く社にやつて來て、主筆と三人應接室で半時間も密議してから
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
内訌(ないこう)が起つたとか起りさうだとか云ふ事を、「毎日」子が何かの序(ついで)に仄めかした時、大川氏と須藤氏が平生(いつ)になく朝早く社にやつて来て、主筆と三人応接室で半時間も密議してから
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
智恵子の心は平生(いつ)になく混乱(こんがらが)つてゐた。お利代一家のことも考へてみた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
吉野は不※、自分が平生(いつ)になく流暢に喋つてゐたことに氣が附いた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
吉野は不図(ふと)、自分が平生(いつ)になく流暢に喋つてゐたことに気が付いた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)