次は江戸ッ子のお手本、花川戸助六はなかわどすけろく幡随院長兵衛ばんずいいんちょうべえに対照してヒケを取らない博多ッ子のお手本、故、篠崎仁三郎にさぶろう君を御紹介する。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
幡随院長兵衛ばんずいいんちょうべえが、水野のやしきに行くように、父はわるびれもせず、悪魔が、下す毒手を、待ち受けているようだった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
笊組ざるぐみ一まきと生不動いきふどうとの、かなり根深い確執は、江戸侠客の本尊仏、幡随院長兵衛ばんずいいんちょうべえの死からその端を発している。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
第二回の興行は三月二十日から開場して、一番目「忠臣蔵」、中幕「大森彦七」、二番目「幡随院長兵衛ばんずいいんちょうべえ
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
わがはいはつねに男伊達だての制度を景慕けいぼする者である。なかでも幡随院長兵衛ばんずいいんちょうべえのごときは、これを談話に聞いても、書籍に読んでも、じつに我が意を得たものとして尊崇そんすうせざるを得ぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
幡随院長兵衛ばんずいいんちょうべえ』が芝居喧嘩けんかの場の如き、『うめ由兵衛よしべえ』が長吉殺ちょうきちごろしの場の如き
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)