かあてん)” の例文
入口に垂れた青いかあてんをかかげながら、観音堂の裏手で投げ込んだ手紙のことを浮かべて、あの女はもう見たろうかと思った。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
……もう九時になったか、と、時計の方へやった眼をまた入口の方へやった。青いかあてんだるそうに垂れて、土室どまの中に漂うた酒と煙草のにおいを吸うていた。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
帳場ちょうばの上にかかった八角時計の針の遅遅ちちとして動いて往くのに注意したり、入口の青いかあてんを開けて入って来る客に注意したりした。時計の長針は十時の処を指していた。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)