いっ)” の例文
なんでいっさんに間違があるもんですか、市さんは年こそ若いが、あなたよりよっぽど分別のある人ですものと、ひとりで受合っていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
叔父は笑いながら、いっさんまるで火事場のようだろう、しかしたまにはこんな騒ぎをして飯を食うのも面白いものだよと云って、間接の言訳をした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
千代子は半紙と筆とすずりとを持って廻って、南無阿弥陀仏なむあみだぶつという六字を誰にも一枚ずつ書かした。「いっさんも書いて上げて下さい」と云って、須永すながの前へ来た。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)