市子いちこ)” の例文
巫女みこでも市子いちこでも、三十そこ/\の餅肌、惡くねえ女だ。その行水を、始めから終りまで、ヂツと眺めて居るのは、樂ぢやありませんね」
ワカとは他府県の市子いちこ口寄せのことで、種々の予言をするものである。また、天狗てんぐについては名高い古峰こぶはらがあるも、ここには略しておく。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
従来あった梓巫あずさみこ市子いちこ祈祷きとう狐下きつねさげなぞの玉占たまうら、口よせ等は一切禁止せらるるか。寺住職の家族はその寺院に居住のまま商業を営んでも苦しくないか。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
女は五十以上であるらしく、片手に小さい風呂敷包みとあずさの弓を持ち、片手に市女笠いちめがさを持っているのを見て、それが市子いちこであることを半七らはすぐに覚った。
半七捕物帳:58 菊人形の昔 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
また、舟夫は梅干しのさねを水中に投ずることと、船中に柿の核を焼くことを嫌う迷信がある。また、市子いちこ口寄せもあるが、これを「教え」と呼んでいる。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
福島県にても市子いちこ口寄せを信ずるものが多いとのことなるが、その種類に、ワカと名づくるものと、アガタと名づくるものと、シンメイと名づくるものと三とおりあって
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)