巳之吉みのきち)” の例文
蛇の文身をしている巳之吉みのきちと、いのししの文身をしている亥太郎いたろうと三人だけですが、その三人が、何か命がけの争いをしているらしゅうございます
多摩川たまがわべりになった調布ちょうふの在に、巳之吉みのきちという若い木樵きこりがいた。その巳之吉は、毎日木樵頭さきやま茂作もさくれられて、多摩川の渡船わたしを渡り、二里ばかり離れた森へ仕事に通っていた。
雪女 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
いつぞやの野村巳之吉みのきちと云う人の写真に、陣場夫人のこの手紙も添えて、こう云う話があるのですが如何ですか、陣場さんは兎に角見合いをさせることを急いでおられるようですが
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
けれどもそう親しくはなかったもようで、頭梁の巳之吉みのきちは火事のとき腰骨を折り、女房をれて水戸のほうへ引込んでしまった。が、その後は便りがないからわからないということだった。
柳橋物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
又六の弟子で、小屋の取締りを兼ねている、中年者の巳之吉みのきちはヒョコヒョコと卑屈らしく小腰を屈めました。
野村巳之吉みのきち
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
又六の弟子で、小屋の取締りを兼ねて居る、中年者の巳之吉みのきちはヒヨコヒヨコと卑屈ひくつらしく小腰を屈めました。
お前は巳之吉みのきちと夫婦みたいに暮して居るやうだが、そりやお前惡い了簡れうけんだぜ。
巳之吉みのきち初め一人残らず調べ上げた上、お倉の母親から、雲龍斎又六うんりゅうさいまたろくの動き、一刀斎勘兵衛いっとうさいかんべえの家まで、念には念を入れて捜し抜きましたが、その晩、お倉の家へ勘兵衛らしい男が訪ねて来ると
巳之吉みのきち初め一人殘らず調べ上げた上、お倉の母親から、雲龍齋又六の動き、一刀齋勘兵衞の家まで、念には念を入れてさがし拔きましたが、その晩、お倉の家へ勘兵衞らしい男が訪ねて來ると
これだけはたしかで御座います、十二支組の殘黨で、生き殘つて居るのが、鼠の文身をして居るお珊と、蛇の文身をして居る巳之吉みのきちと、ゐのしゝの文身をして居る亥太郎ゐたらうと三人だけですが、その三人が