工人こうじん)” の例文
城内からあふれ出た若侍たちは、うろたえている人足どもを叱咜しったして、その空濠の底から、石に押しつぶされた工人こうじんの死骸を引きあげさせている。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここへ来るときは、いくら日本一の名匠だとは言っても、たかが手仕事の工人こうじん、たんまり金銀を取らせるといったら、とびついてくるだろうと思っていた田丸主水正。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
生命せいめいの高貴なる工人こうじんとして
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
百姓も町人も工人こうじんもそちたち侍どもも、さだめしこの世をおもしろおかしく、華奢かしゃに遊楽に暮したかろう。——世はいま元禄五年、江戸も京も、他領の国々も、なべてそういう風潮の世であるものを。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)