みね)” の例文
コン吉とタヌが次の朝起きて見ると、ドアの前にドロ山の険しいみねに生えている輝やくばかりの見事な瑠璃草るりそうが十六束置かれてあった。
萌黄もえぎ緋縅ひをどし赤縅あかをどし、いろいろのよろひの浮きつ沈みつゆられけるは、カンナビ山のもみぢ葉の、みねの嵐にさそはれて……」
武者窓日記 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
二人が鶴飼橋へ差掛つた時、朱盆の樣な夏の日が岩手山のみねに落ちて、夕映の空が底もなく黄橙色だい/\いろに霞んだ。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
先年西牟婁むろ郡安都ヶ峯下より坂泰ばんたいみねえ日高丹生川にて時を過ごしすぎられたのを、案じて安堵の山小屋より深切しんせつに多人数で捜しに来た、人数の中に提灯唯一つ灯したのが同氏の目には
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)