山家さんか)” の例文
今日でも山家さんかなどと呼ばれる浮浪民がありますが、これらは無論公民ではなく、非人中の非人と申してよいのであります。
山家の人のはなしに熊をころすこと二三疋、あるひはとしたる熊一疋を殺も、其山かならずあるる事あり、山家さんかの人これを熊あれといふ。このゆゑに山村さんそん農夫のうふもとめて熊をとる事なしといへり。
しかしその中には取り残されて、時に山中の異俗として、或いは祖先以来の浮浪の風を存して山家さんかの様なものになって、後世に遺ったものがないとは言えぬ。
「エタ」名義考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
山家さんか住居ぢゆうきよもこゝかしこはなれあるものゆゑ、これらの事をしるものもなかりけり。
さらに進んだものでは、もはや浮浪生活をやめて、一定の住宅を構え、戸籍に編入せられているのもあります。こうなれば彼らはもはや山家さんかではありません。
山家さんか住居ぢゆうきよもこゝかしこはなれあるものゆゑ、これらの事をしるものもなかりけり。
今も鎌倉あたりの墓穴(横穴)に住んでいるものもあります。近ごろ石器時代の遺蹟として有名な、越中氷見郡海岸の洞窟には、毎度山家さんかが来て住むそうです。
通例は山家さんかなどの浮浪民の職業となっているが、これらの浮浪民が或る村に住み着いたとすれば、所謂「来り人」となって、やはり村外れの小屋に落ち付くという事になるのであろう。