尾骶骨びていこつ)” の例文
いちばんひどく打った個所は尾骶骨びていこつの辺で、肩や右腕の怪我は、さしたる事もないらしかった。副院長は、ぼくを眼鏡の下に見て云った。
房々した尾の垂れていたものが、今はわずかに名残りの尾骶骨びていこつを止めているばかりである。
現代の婦人に告ぐ (新字新仮名) / 大隈重信(著)
その外、背骨せぼねの曲り方、肩胛骨けんこうこつの開き工合、腕の長さ、太腿の太さ、或は尾骶骨びていこつの長短など、それらの凡ての点を綜合して見ますと、どんな似寄った背恰好の人でも、どこか違った所があります。
人間椅子 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
首筋から尾骶骨びていこつまでたしか十五六ほどの灸穴を決定する。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
人いきれ、馬いきれ、世間のどんな所よりもきたなかった。どの顔も目ばかりぎょろつかせ、各自の尾骶骨びていこつが、ふたたび人間の原始を発達させてきたようにみえる。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)