尼様あまさん)” の例文
「お前、私達だって、口じゃあ分るようにいえないよ。みんな尼様あまさんが御存じだから、聞きたきゃあの方に聞くが可いんだ。」
清心庵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
六日むいか目に同室の婦人は後方うしろ尼様あまさんの様な女の居る室に空席が出来たと云つて移つて行つた。汽車はたまの様な色をした白樺の林の間ばかりを走つて居る。稀には牛や馬の多く放たれた草原くさはらも少しはある。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
どうでもして下さいなッて、摩耶さんが嫁入をして、逢えなくなってからは、なおの事、行っちゃあ尼様あまさん強請ねだったんだ。私あ、だだをねたんだ。
清心庵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
名高い尼様あまさんだから、話をしたら、慰めて下さるだろうって、私の手を引いて、しかも、冬の事だね。
清心庵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)