小鬼こおに)” の例文
どうしてこんなことになったのか、きっとかぎタバコの黒い小鬼こおにのしわざにちがいありません。
無数の黒い小鬼こおにたちが音もなく干戈かんかを交えているみたいな、影も形もない無言のおたがいの意識のたたかいは、次第に、私と彼女との、二人きりの奇妙なゲームのように思えてきた。
軍国歌謡集 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
気まぐれな小鬼こおにめがわしの生命中に巣をっているようだ。わしの気質は自分の自由にならないのだ。わしは孤立無縁こりつむえん霊魂れいこんだ。人とやわらぐことのできない粗野そやな性格だ。わしはわしをのろう。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
「おいすずの兵隊、すこし目をほかへやれよ。」と、その小鬼こおにがいいました。
「そうだ、そうだ。これは小鬼こおにのやつのしわざなのだ。いやはや、なさけない。あのかわいいむすめが、いっしょにのっていてくれるなら、この二倍もくらくても、ちっともこまりはしないのだが。」