小気味こきみ)” の例文
旧字:小氣味
忍剣が伊那丸の顔をあおぐと、伊那丸も小気味こきみよいやつとうなずいて、竹童のすがたを見ながらこういった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きずは薩州やしき口入くちいれで近衛家の御殿医ごてんゐが来てつた。在所の者は朗然和上の災難を小気味こきみよい事に言つて、奥方の難産と併せてぬまぬしや先住やの祟りだと噂した。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
柏木かしわぎには危険人物がある、大杉一味の主義者を往来へならべて置いて、片端かたっぱしからピストルでストンストン打ったら小気味こきみかろう」とパルチザン然たる気焔きえん
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
正体を現わした人獣は、赤い唇を、ペロペロとめながら、さも小気味こきみよげに、ニヤニヤと笑い出した。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「いや、あいかわらず小気味こきみのいいやつ、ではわかりしだいにその場所から、この狼煙のろしを三どうちあげてくれ、こちらでも、その用意をして待つことにいたしているから」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、目くばせすると、それまで、小気味こきみよげに三人をにらんでいた伴天連風バテレンふう怪人かいじん
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)