寛容くわんよう)” の例文
竹村たけむらはその温順おとなしさと寛容くわんようなのに面喰めんくらはされてしまつた。彼女かのぢよやはらかで洗煉せんれんされた調子てうしから受取うけとられる感情かんじやうると、しかしかんがかたが、きはめて自然しぜんえるのであつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
然るにその親切と寛容くわんように報ゆるに、この不幸なる娘はかくもいまはしく恐しき忘恩を以てしたので、遂に彼女の立派な恩人が、己が幼い子供らの純潔を、この娘のむべき例によつて
唯君は僕よりも寛容くわんようの美徳に富んでゐるのである。
解嘲 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)