寂寞さびしさ)” の例文
不思議な寂寞さびしさは蛙の鳴く谷底の方からい上って来た。恐しく成って、逃げるように高瀬は妻子の方へ引返して行った。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
……次第に家ごとゆするほどになりましたのに、何という寂寞さびしさだか、あの、ひっそりと障子の鳴る音。カタカタカタ、白い魔が忍んで来る、雪入道が透見すきみする。
雪霊続記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さつと吹雪ふゞきであります。さつとくあとを、ぐわうーとる。……次第しだいいへごとゆするほどにりましたのに、なん寂寞さびしさだか、あの、ひつそりと障子しやうじおと
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
寂寞さびしさの裾こそよけれ
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)